第28章 · Crypto Growthの本質とは何か
エアドロップが終わった後も、利用者は残るか。
- 練習する能力
- ResearchSystem Thinking
- 実践
- エアドロップを行ったプロトコルを 1 つ選び、前後 30 日間のアクティブアドレスと取引量を比べる。
- AI Lab
- AI にインセンティブ制度を設計させ、エアドロップ農場がどう悪用しそうか自分で書く。
現実の問題
チームが四半期の成長を振り返っている。投影された曲線は美しい。
第1週:日次アクティブアドレス2000、安定。 第3週:報酬施策を発表し、1.2万へ。 第6週:過去の利用履歴に応じたトークン配布を発表し、8万へ。取引量は30倍。 第9週:スナップショット日。11万で過去最高。コミュニティは画面写真であふれる。 第10週:スナップショット終了。1500。
開始前より少ない。
会議では三つの説明が出て、どれにも支持者がいる。
- 「市況が悪い。全体がそうだ」
- 「配布が少なくて、人をつなぎ留められなかった」
- 「製品に問題がある。作り直そう」
共通するのは、検証できず、次の行動も導けないことだ。
だが、この件は計算できる。十週間の全取引、各アドレスの誕生時刻、利用内容はオンチェーンに公開記録されている。第23章で取得法を学んだ。
本当の問いは、なぜ減ったかという抽象論より、次の二つだ。
第一に、11万のうち、本来したかったことをするために来た人は何人か。 第二に、報酬には総額いくらかかり、何を買えたか。
第二には正確な答えがある。第26章の損益表の第四行が、その分子だ。
この章では、二つの問いを毎回行う手順にする。
思考実験
新しい地区にジムが開店した。
最初の月:経営者は三か月無料のカードを5000枚配った。申込者が通りまで並び、受付は手いっぱいで、SNSは来店写真だらけ。一日900来店。
第四月:無料期間が終わり、更新者は120人。一日140来店。
三か月分の施設、器具の減価償却、トレーナーの給与で120人の会員を買った。総費用を120で割れば、本当の会員一人の獲得費用だ。 三年間の会費収入より高ければ赤字になる。三か月の写真がどれだけ賑やかでも変わらない。
三つの細部を加える。それぞれ実際のオンチェーン現象に対応する。
第一層:景品だけが目当ての人。 入会でタオルがもらえるので、家族や友人の身分証で300枚申し込み、300枚のタオルを受け取った人がいる。一度も運動しない。詐欺師というより、10分の投入で300枚を得る機会を見つけたのだ。
第二層:60回運動すれば景品、という規則に変更する。 本当の運動好きが残ると思ったら、新しい仕事が生まれた。学生を雇い、毎日入館記録を付け、10分座って帰らせる。必要回数を稼ぐ費用が景品価値より低ければ、必ず起きる。
第三層:景品を決めず、将来見返りがあるとだけ言う。 短期の効果は大きい。条件が不明なら多めに通い、景品が不明なら最良の結果を想像する。
代償は遅れて現れる。発表日に、ほとんどの人が失望する。 期待は各自が決めるが、現実は一つ。その後は来なくなるだけでなく、人にも勧めなくなる。
三層を見れば曲線は謎ではない。測っているのは報酬の魅力で、ジムの質ではない。
本来問うべきことは一貫して一つだ。無料期間の後、何人が自分で戻ったか。
あなたが決める
成長予算の使い方が四つある。
結果を観察する
四択をまとめる一文が、章の中心だ。
報酬が買えるのは初回利用まで。継続は製品自体にかかっている。
成長を五層に分けると、各手段の作用点が分かる。
- 注目
- 流通
- 流動性
- 報酬
- 継続
| 層 | 解決すること | お金は効くか | オンチェーンでの測定 |
|---|---|---|---|
| 注目 | 存在を知る人がいるか | 効き、すぐに反応する | 日ごとの新規アドレス数 |
| 流通 | 知った後すぐ使えるか | 効く。主に統合と入口 | 呼出元の分布(直接 / 他製品経由) |
| 流動性 | 使う体験が合格水準か | 効くが限界効果は減る | 深さ、標準的な取引額でのスリッページ |
| 報酬 | 初回を試す価値があるか | 定義上、お金を使う行為 | 報酬支出、受取アドレス数 |
| 継続 | 初回の後も戻るか | 効かない | 終了30 / 60 / 90日後の再訪率 |
最後の行が中心だ。前四層は直接買えるが、第五層は買えない。 成長施策の価値は、送られてきた人の何割を第五層が受け止めるかで決まる。
成長成功のすぐ後に利用者が消える例が多いのは、手法の誤りというより、前四層を極めても第五層がずっとゼロだからだ。
もう一点、この章は報酬を否定していない。
代替できない二つの用途がある。立ち上げ期では、どちら側もいない二面市場は回らず、まず片側を呼ぶ費用が要る。所有権の配分では、投資家とチームだけでなく、本当の利用者へトークンを配る。
問いは配るべきかより、配った後に人が残り、それを測ったか、だ。
モデルを作る
利用者を四層に分ける
第23章の四層分解を、毎回行う。
| 層 | 定義 | 調べ方 | 典型的な減り方 |
|---|---|---|---|
| 1 アクティブアドレス | 期間内に利用したアドレス | 日ごとに重複除去 | 母数 |
| 2 独立アドレス | コントラクトと明らかな大量作成を除く | 作成時刻と資金源 | 大幅に減る |
| 3 実際に支払ったアドレス | 報酬なしの有料利用を一度完了した | 報酬コントラクト関連の呼び出しを除く | さらに減る |
| 4 継続アドレス | 終了30日後も利用する | 終了日で観測窓を切る | この層が答え |
四数字を合わせて初めて、利用者が誰か分かる。第一層しか報告しない成長報告は、何も報告していないに等しい。
必ず計算する二つの数字
第一は本当の獲得費用。
継続利用者一人の費用 = 報酬総支出(配布時の価格で換算)
÷ 終了90日後もアクティブなアドレス数分母は第一層でなく第四層。結果はしばしば10〜100倍違う。 利用者の長期価値と比較できるのは、第四層を使った費用だけだ。
第二は継続曲線の形。
終了日をゼロとして、その後90日のアクティブアドレスを描く。形は三つある。
| 形 | 見た目 | 意味 | 次の行動 |
|---|---|---|---|
| 崖 | 数日で元の水準以下へ戻る | 報酬だけが目的で、製品が受け止めなかった | 成長より先に継続を直す |
| 緩やかな低下 | 大半が減り、元より高い水準で安定 | 一部が残った | 残った人と共通点を探す |
| 上昇 | 一時低下後に再成長 | 残った人が新しい人を連れてきた | 稀な例なので理由を深く調べる |
二番目の安定水準が、本当の成果だ。 開始前の基準値を引いたものが純増になる。
報酬獲得業者の計算
設計者の立場で見なければ、防げない。
原則は単純だ。期待収益から費用を引いて正なら、必ず起き、規模も拡大する。
期待収益 = 報酬の期待価値 × 獲得確率
費用 = 手数料 + 資金拘束 + 時間 + アドレスと身元の準備費用設計側が変えられるのは三変数だけだ。
| 変数 | 変更方法 | 副作用 |
|---|---|---|
| 条件の形式 | 一度行ったことから、継続や資金の翌日持ち越しへ | 高い条件は本当の新規利用者も排除する |
| 配布時期 | 一回のスナップショットから、長期・複数回・予告なしへ | 不確実性は参加意欲も水増しの確実性も下げる |
| 収益上限 | アドレスごとの上限、または量より質で報酬 | 大口は不満を持つ。質の定義も研究・模倣される |
明確に説明できる条件は、大規模に満たせる。 効く設計は難しい条件そのものより、規模拡大を割に合わなくすることだ。 例えばアドレスごとの上限なら千アドレスの収益が一つの千倍にならず、資金を長期滞留させれば資金費用がアドレス数に比例して増える。
また、参加者は敵ではない。 あなたの規則に合理的に従っている。水増しを報酬対象にすれば、水増しが求めた結果だ。規則に書いたものが得られる。 第20章の報酬設計の原則を、別の形で表している。
大きなコミュニティという主張を検証する
第22章の問いに、定型の調査方法を用意する。「何万人いる」という主張は四クエリで確かめられる。
| 調べること | 方法 | 疑わしい状態 |
|---|---|---|
| 作成時刻の分布 | 参加アドレスの最初の取引時刻 | 大半が開始直後の数日に集中 |
| 利用の深さの分布 | 取引数と金額 | 条件をぎりぎり満たし、一件も余分にないアドレスが多い |
| 資金源のクラスタリング | 最初の資金の送付元 | 多数が同じ送付元から受け取る |
| 終了後の継続 | 30日後の再訪率 | ほぼゼロ |
四クエリは難しくなく、合わせて一時間以内だ。検証不能な宣伝文句を、引用できる四つの数字へ変えられる。
何と呼ぶか
存在を知る人がどれほどいるか。
成長ファネルの第一層で、純粋にお金だけで買える唯一の層だ。第22章は注目自体が価格を支え、すぐ消えることを示した。
成長では一つを覚える。注目は入口の幅で、ファネルの効率ではない。 転換率を変えず十倍に広げれば、同じ問題を十倍にするだけだ。
知った人が、手間なく使えるか。
CryptoにはWeb2にない道がある。組み合わせ可能性による受動的な流通だ。 他者がプロトコルを組み込めば、その利用者が自分の利用者になる。何もしない場合もある。第27章の第三制約は、ここでは成長資産だ。
第29章が統合をBDの三大成果に挙げる理由でもある。一度の統合が一巡の報酬施策より効き、施策終了で消えない場合がある。
本来しなかったことを人にしてもらうための費用。
本来しなかった、が鍵だ。もともとするなら、お金をただ渡している。 最もよくある無駄で、実際に来るため数字からは全く分からない。
記帳は第26章のIncentive Costを参照する。枚数と当時価格での換算額、両方を記す。
オンチェーンに載せず、運営者が記帳し、交換規則が未定の報酬証票。
三性質を合わせて見る。費用の先送り(付与時に支出しない)、規則の変更可能性(重みを随時調整)、不確実性自体が報酬(最終価値が不明なので最良を想定する)。
第三が最も効き、最も危険だ。交換日が本当の試験日になる。 それ以前の数字は各自の期待に立つが、現実は一つだ。
規則に従い、一群のアドレスへトークンを配ること。
混同されがちな二目的がある。所有権の配分(本当の利用者を保有者にする、統治と公平性の目標)と、成長を買うこと(期待で行動を促す、マーケティングの目標)だ。
設計は全く違う。前者は深さと継続を評価し、事後に条件を決めてもよい。後者は行動を導くため事前公表が必要だ。公表すれば、規則は最適化される。
どちらが目的か考えるのが最初の段階で、最も省略されやすい段階でもある。
初回の後にも戻るか。
この章で、お金が買えず、製品が役立つかに答えられる唯一の指標だ。
測定は一動作でよい。報酬終了日をゼロにして、30 / 60 / 90日後のアクティブアドレスを見る。 三数字を線にすれば、意見なしに答えが出る。
第30章は、この線をPMF判断の主な根拠にする。
実践
第23章の手順を具体的に応用する。未実施なら先に行う。そこでのクエリを直接使う。
明確なスナップショット日か終了日があり、終了から90日以上経過した施策を選ぶ。明確なゼロ時点がなければ実施できない。
ゼロ時点と集計基準を決める。
スナップショット、終了、配布の日を探す。公式発表と統治フォーラムで照合し、二次記事から写さない。
基準を書く。
ゼロ時点: 年月日(UTC)
観測窓: 30日前から90日後
対象: メインコントラクト0x…(エクスプローラーで照合)、メインネットのみ
対象イベント:…(具体的なイベント名)
重複除去: 発信アドレスごと。アグリゲーター経由はアグリゲーターに帰属する(不確実性リストへ記載)日次アクティブアドレスと取引量の二曲線を取得する。
観測窓は30日前から90日後の計120日。
select
date_trunc('day', block_time) as day,
count(distinct tx_from) as active_addresses,
count(*) as tx_count,
sum(amount_usd) as volume_usd
from <プラットフォームのイベント表>
where contract_address = <照合済みのコントラクトアドレス>
and block_time between <ゼロ時点 - 30日> and <ゼロ時点 + 90日>
group by 1
order by 1描いてゼロ時点に縦線を置く。結論を急がず、まず形を見る。
崖、緩やかな低下、上昇のどれか判定する。
三数字を計算する。
開始前の基準値 = 30日前までの日次アクティブアドレス平均
施策の最高値 = 観測窓での最大値
安定後の水準 = 61〜90日後の日次平均
純増 = 安定後の水準 − 開始前の基準値最後の純増が本当の成果だ。 正、ほぼゼロ、負のいずれもあり得る。負なら既存利用者の関心を先取りした可能性がある。
参加アドレスを四層に分ける。
-- 第一層:期間中に利用したアドレス
-- 第二層:そのうち最初の取引が開始より前(施策のために生まれたのではない)
-- 第三層:そのうち報酬と無関係な利用を一回以上行ったもの
-- 第四層:そのうちゼロ時点の30日後も利用するもの四数字を表に入れ、各段階の継続比率を計算する。第一層から第四層への比率が、最も重要な成果の一つだ。
作成時刻の分布から、大きなコミュニティという主張を確かめる。
最初の取引時刻を週ごとに区切り、ヒストグラムを描く。
select
date_trunc('week', first_tx_time) as cohort_week,
count(*) as addresses
from <作成したアドレスの初回取引時刻表>
group by 1
order by 1大半が開始後一〜二週に集中するなら、アドレスが生まれた理由は製品より、この施策自体だ。
初期資金の出所も調べる。多数の最初の資金が同じ送付元なら、大量作成の明確な証拠だ。
報酬支出を取得できれば、本当の獲得費用を計算する。
第26章のLabで総支出を求める。
第一層で計算:総支出 ÷ 期間中のアクティブアドレス = ______
第四層で計算:総支出 ÷ 90日後もアクティブなアドレス = ______二数字を並べる。 比率は施策の見かけの倍率だ。前者は外部報告によく使われ、後者が本当の費用になる。
三段で結論を書く。
本当の純増: ______ 日次アクティブアドレス
継続利用者一人の本当の費用:______
不確かな点(最低三つ): 1. … 2. … 3. …第三段を省かない。メインネットのみ、アグリゲーターへの帰属、支出を当時の平均価格で換算、同じ人の複数アドレスを識別できないことなどがある。
成果は二用途でそのまま使える。 研究では利用者が誰かへの一次的な答え、成長業務では次回施策の基準線になる。
AI Lab
第27章のPRD課題に似ている。モデルは設計が得意で、どう利用されるかを考えるのは苦手だ。 設計文書に比べ、事後の振り返り資料が少ないためでもある。
重点は第二段階だ。第一で標的を作らせ、第二で自分が攻める。
第1段階:次のプロトコル向けに8週間の報酬施策を設計してください。
<何をするか、現在の利用者数、増やしたい行動>
必要項目:
1. 目標行動:利用者に何をしてほしいか、なぜその行動か
2. 条件と重み:一人の貢献をどう計算するか
3. 配布形式と日程
4. 予算:総額と換算方法
5. 成功指標:終了後に何で成否を判断するか
第2段階:同じ出力に「この施策はどう利用されるか」という独立節を作ってください。
報酬獲得を専門とするチームの立場で、具体策を最低五つ書いてください。
- 具体的な手順
- 一アドレスのおおよその費用
- 百アドレスへ拡大する難しさ
- 施策がそれを防ぐか
第3段階:終了後に、なぜこの人たちは戻るかを別節にしてください。
戻らないなら、直接「戻らない」と書いてください。
規則:
- 「シビル対策を強化する」のような、具体的な行動のない文を書かないでください。
- 各防御について、オンチェーンでの実行方法を説明してください。受け取ったら、施策より先に第二節を見る。 複数アドレスで参加する人がいるかも、程度なら、本当に自分の設計を攻めていない。自分で書いてから設計に戻る。
Labの中心は、自分の攻撃を一つずつ設計に照らし、防げる / 防げない / 一部防げるを付けることだ。
| 自分の攻撃 | 費用 | 防げるか | 変更するパラメーター |
|---|---|---|---|
表を埋めれば第二版になる。 二巡すれば、一回だけの設計より質が高まる。
頻発する誤りを危険度順に四つ挙げる。
- 条件を線形に複製できる。 N取引やX額の預入は拡大費用がほぼ線形だ。百アドレスなら費用も収益も百倍で、純収益率は変わらない。
- アドレスごとの上限がない。 上の直接の帰結だ。上限を設けるだけで拡大時の収益率を大きく下げられる。
- 成功指標に第一層を使う。 期間中の日次利用がX倍という目標はほぼ必ず達成され、情報を持たない。
- 第三節が空だ。 終了後に戻る理由を飛ばすか、一般論で済ませる。この問いこそ施策の価値の唯一の基準だ。
発展課題として、同じプロトコルに、所有権配分と成長購入の二版を作らせる。条件、時期、公表方法はほぼ逆になる。 二目的を同じ施策で同時に達成できないことを示すが、多くのチームがそれを試みている。
AI の回答後、自分で必ず検証すること
- 一人が百アドレスを使い、安く条件を満たせるか
- アドレスごとの上限はあるか。なければ複数アドレスの収益は線形に加算される
- 条件は一度行うだけか、継続や資金の翌日持ち越しか。前者は安く稼げる
- 計算規則をすべて事前公表するか。公表すれば最適化される
- 終了後の成功指標があり、第一層か第四層のアドレスを使うか
- 費用と換算価格を計算し、継続利用者一人の費用を示したか
- 最重要点:終了後に何で人を残すか。この節はほぼいつも空になる
- シビル対策はオンチェーンで実行可能か、ただの一文か
実例
過去の利用に応じた配布を発表すると、数週間で参加アドレスは数十倍になり、取引量も増える。翌日には開始前へ戻り、一週間でさらに低くなる。
四層に分けると安定した傾向が見える。第一層は大きく、第四層はほぼゼロだ。 開始前に初回取引があった第二層の割合も低く、大半は施策のための新しいアドレスだ。
開始前より低くなる点は、特に重要だ。 既存利用者が先の数か月分の操作を前倒ししたことと、発表後に失望して離れたことが、通常の二原因だ。
費用には配布トークンだけでなく、既存需要の先食いもある。振り返りには出ないが、同じ既存アドレスの前後の頻度を比べれば計算できる。
一括配布から長期ポイントへ広く移った。費用を先送りし、規則を調整し、行動を継続的に導き、スナップショット後の全員離脱を避けられるという理由だ。
実際には二効果が出た。一つは本当の改善だ。 継続行動と報酬が結びつき、短期で稼いで去るのが割に合わず、一回のスナップショットより継続が良くなった。
もう一つは費用の再配分だ。 ポイントは未払債務で、運用中は払わず交換日に精算する。規模どおり交換すれば支えられない高費用、割り引けば信用損失、という難題に多くのプロジェクトが直面した。
良し悪し以上に、試験日は運用中ではなく交換日だ。 そこまで待ち、その30日後の継続も見る必要がある。
数時間に集中した作成、同一の資金源、条件ぴったりの利用回数、人らしくない規則的な間隔。多くの参加アドレスに同じ傾向が出る。
すべてオンチェーンで見え、三クエリで検証できる。作成時刻、資金源のクラスタリング、利用の深さの分布だ。
経済的には、不正というより公表規則への合理的な行動だ。 N回で報酬なら、千アドレスでN回ずつが最適になる。
対策は非難より規則の変更だ。アドレスごとの上限、長期の資金滞留、回数より質での評価。 拡大時の収益率を下げることが狙いになる。
すべてが崖ではない。終了後に八割減っても、開始前より明らかに高い水準で安定する例がある。
残ったアドレスこそ唯一の本当の標本だ。 取り出すと、開始前から使う、条件以上に深く使う、資金が長く滞留するという共通点が見える。
本来この製品を必要とした人で、報酬は来る時期を早めただけなのだ。
直接の用途は、次の条件をこの人たちの行動へ近づけることだ。 悪い人を識別するより良い利用者を定義するため、汎用のシビル対策より効く。
変数を一つ変える
水増しの確実性は消える。条件を知らなければぴったり狙えず、理論上、本当の利用者へ配りやすい。
二つも同時に起きる。第一に、行動を導く効果がなくなる。 本来しなかったことを促す価値が半分消え、事後の配当に近づく。
第二に、想像した規則に従い、過剰投入しがちになる。 条件不明なら多めに、報酬不明なら最良を想定する。発表日に一度に精算され、その向きは失望だ。
取捨選択は、行動を導きたいか、本当の利用者を選びたいかになる。配布の二目的に対応し、逆の設計が要る。同時に求めると、どちらも得られないことが多い。
短期の外向き指標は悪く見える。日次利用や量が増えず、コミュニティも静かだ。週次報告の環境では二か月も維持しにくい。
データに二つが徐々に現れる。初回の転換率が上がる。 手数料用トークンがない人、三署名のうち二回で諦めた人が完了できる。継続曲線の基準が高まる。 来る人の体験が改善するためだ。
この二改善は、どの日にも終了しない。
現実には二者択一より順番だ。第五層が人を受け止められてから、前四層で人を買う。 逆なら穴から全員漏れ、それが崖の原因になる。
報酬が代替できない場面として、別に扱う価値がある。
どちらかが空なら市場は回らない。流動性提供者がいなければ深さがなく、利用者が来ず、提供者は稼げない。自力では始動できない循環で、外力が必要だ。
補助は成長購入より、自走するまでの立ち上げ費用の立替えだ。適切かの基準は一つ。補助を減らす間に、その側が自分で稼ぎ始めるか。
初日から減額経路を設計し、補助を除く実収入が総収入に占める割合を追う。上がれば市場が引き継ぐ。動かなければ、補助が代替しているのは始動費用ではなく需要そのものだ。
数字はすべて小さくなり、時には十分の一になる。良いことだ。
三雑音を同時に除ける。報酬目的のアドレス(なしなら動かない)、照会や無料操作(需要の証拠でない)、コントラクトの自動呼び出し(人の判断でない)だ。
残る数字こそ、本当に必要な人がいるかに答える。第30章のPMF判断の主な根拠でもある。
副作用として、過去の成長報告が見苦しくなる。 ただし本当の母数を初めて知り、そこでの成長はどのスナップショットでも消えない。
持ち帰る問い
定型の四層分解を得た。アクティブ → 独立 → 報酬なしの有料利用あり → 終了30日後もアクティブ。
四数字で初めて答えが成立する。第一層だけの報告は、何も報告していないに等しい。 だが業界のほとんどの報告は第一層のみだ。
報酬では特別な答えがある。希薄化を通じ、全トークン保有者が払う。
第26章の記帳に、何を買えたかという問いを加える。継続アドレスを分母に本当の費用を求め、長期価値と比べる。比較できなければ、施策の成否自体を定義していない。
設計者の問いになる。自分の希望より、規則が何をしたくさせるか。
報酬獲得業者の立場で、期待収益から費用を引く。正なら必ず起き、規模が拡大する。 規則に書いたものを得る。
章の中心の問いには定型の方法がある。終了日をゼロに、30、60、90日の継続を線にする。
三数字で意見なしに答えが出る。オンチェーンデータが一次の事実であることを最もよく示す操作の一つだ。 自分にも他者のプロジェクトにも使える。
章末チェック
注目、流通、流動性、報酬の前四層はお金で加速できるが、第五の継続はできない。
二度目に来るかは最初の体験で決まり、報酬の大きさでは決まらない。 報酬は初回を試す意欲にだけ効く。
価値は第五層が何割を受け止めるかで決まる。ゼロなら、前四層が良いほど崖は急になる。
成長成功の後の消失を説明する。手法より、最後の層を作っていないことが問題だ。
報酬自体の否定ではない。二面市場の立ち上げと所有権の配分は代替できない用途だ。問うのは配るべきかより、配った後に人が残り、測ったかである。
一時間以内の四クエリだ。
- 作成時刻の分布。 初回取引が開始直後に集中するなら施策のために生まれた。
- 利用の深さ。 回数と金額が条件ぴったりなら明確な兆候だ。
- 資金源のクラスタリング。 初期資金が同じ送付元なら大量作成を示す。
- 終了後の継続。 30日後にどれだけ動くか。
宣伝文句が引用できる四事実になる。第23章の方法は、結論へ反論するより、一次データを直接出すためにある。
継続利用者一人の費用 = 報酬総支出 ÷ 終了90日後もアクティブなアドレス数第四層を使う。期間中の多くは報酬を得て去る。それを分母にすると、利用者一人よりクリック一回の費用を測ることになる。
二数字はしばしば10〜100倍違う。
実務では両方を計算して並べ、比率も示す。残らないアドレスへどれだけ無駄に支出したかを示す有用な指標だ。
長期価値と比較して黒字か赤字かを答えられるのは、第二の数字だけである。
獲得者側で計算する。
期待収益 = 報酬の期待価値 × 獲得確率
費用 = 手数料 + 資金拘束 + 時間 + アドレス準備費用差が正なら必ず起きる。 さらに、百アドレスの収益は一つの百倍か。 そうなら拡大でき、費用が薄まれば収益率はさらに上がる。
変えられるのは、条件の形式(一度から継続・翌日への資金持ち越し)、配布時期(一回から長期・予告なし)、収益上限(アドレス上限、量より質)の三つだ。
明確に説明できる条件は、大規模に満たせる。 条件を難しくするより、拡大自体を割に合わなくする。 アドレス上限と資金の長期滞留は、収益がアドレス数に比例しなくなるため特に効く。
標準解答はない。次を点検する。
- ゼロ時点を公式発表で確かめたか、二次記事から写したか。
- アドレスと取引量、両方を描いたか。 形は同じか。
- 安定水準から開始前基準を引く純増を計算したか。正か。
- 四層のどこまで分けたか。第四層までか。
- 作成時刻分布を調べ、集中度を測ったか。
- 第一層と第四層の二獲得費用を計算したか。何倍違うか。
- 不確実性リストは何項目か。
大半は崖か、非常に急な低下だ。 純増ゼロや負もよくある。驚かず、すぐ製品を否定しない。示すのは施策が継続を生まなかったこと、製品に価値がないことではない。
時間を使うべきは、緩やかな低下なら、残ったアドレスを別に見ることだ。 共通点はどんな理論より、誰に役立つ製品かを教える。
要点
インセンティブで初回利用は買えても、継続利用はプロダクト自体の力が必要だ。