第11章 · なぜLayer 2が必要なのか
なぜブロックを大きくするだけではいけないのでしょうか?
- 練習する能力
- Protocol LiteracySystem Thinking
- 実践
- L2 で送金し、対応する L1 への提出記録を探して、取引の実際の費用の内訳を計算する。
- AI Lab
- AI に Optimistic Rollup と ZK Rollup の出金手順をそれぞれ説明させ、特定の L2 の実際の出金待ち時間を確認する。
現実の問題
友人へ5ドル送りたいのに、手数料は12ドルです。
送るのをやめました。
極端な例ではなく、混雑時には普通です。影響は高いこと以上に深刻です。ある種類の用途全体が、永久に締め出されます。 少額決済、ゲームの操作、ソーシャルアプリの動作、従量課金のAPI呼び出しは、1件の価値が数セントしかなく、使うと高いというより、存在できません。
第7章で理由を説明しました。供給はほぼ固定、需要は急増でき、価格は激しく動きます。
誰もが最初に思う解決策があります。ブロックを大きくすればよいのでは?
自然な考えだからこそ、真剣に扱う価値があります。なぜその道では解決せず、その先にどんな別の道が見つかったか答えます。
思考実験
町の広場の木板へ戻ります。
1枚を10倍にし、100行から1,000行へ増やすと決めました。
1年目、効果はすぐ現れます。 価格は銅貨1枚に戻り、農夫も少額の借金を記録でき、全員満足です。
2年目、板を写す人が退出し始めます。 誰でも板を家へ写せば、他人にだまされないルールでした。毎日の量が10倍になり、1時間だった作業が10時間です。200人いたのに30人となり、全員が助手を雇える資産家です。
3年目、倉庫がいっぱいです。 10年分の板が積まれています。新しく来た人は、現在の状態を確認するため、10年分を写す必要があります。半年かける人はおらず、30人へ現在の残高を尋ね始めます。
4年目、30人の発言がすべてになります。
町は一周して第2章の出発点へ戻りました。台帳は再び少数の人が決めます。 板とルールは残っていても、誰でも自分で照合できるという性質は実際には成り立ちません。
ここで止まり、別の角度から考えましょう。
毎日、本当に全員で一緒に行う必要がある仕事はいくつでしょうか?
分けると三つだけです。
- 全員が元の内容を入手できる。なければ自分で照合できません。
- 争いがあれば正しい側を決められる。なければ争いが終わりません。
- 順番で食い違わない。なければ同じお金を二度使えます。
一方、1,000件の告知から結果を計算することは、全員が繰り返す必要はありません。一人が計算し、他が確認すれば足ります。
新しい方法が現れます。
書記が家で1,000件を処理し、広場の主板へ二つ刻みます。処理結果と、1,000件の元の内容です。圧縮した書き方で1.5行に収まります。
誰でもその元データを持ち帰り、再計算できます。誤りや不正があれば、広場で証拠を示し、書記に賠償させられます。
1,000件が主板の1.5行になり、書記を信頼する必要もありません。
あなたが決める
町議会は四つから選びます。
結果を観察する
違いを一文にまとめます。
チェーンの仕事は四つに分けられ、同じ場所で行う必要はありません。
| 仕事 | 問い | 全員で行う必要 |
|---|---|---|
| 結果の計算 | 1,000件後の状態は何か | 不要。一人が計算し、他が確認 |
| 元の入力の入手 | 自分で再計算できるか | 必要。入手できなければ確認不可 |
| 正しい側の判定 | 争いで誰の結論を採るか | 必要。なければ決着しない |
| 順番の確定 | どちらが先か | 必要。なければ二重払い可能 |
最初は最も資源を使い、唯一、外へ移せる仕事です。
章全体の答えです。板を大きくする代わりに、計算を外へ移し、三つを主板に残します。
主板へ残す仕事で、もう一度並べます。
| 方式 | 計算 | 元の入力 | 判定 | 順番 | 信頼する対象 |
|---|---|---|---|---|---|
| 主板を大きく | 主板 | 主板 | 主板 | 主板 | 人への信頼は不要だが、確認できる人が減る |
| 結果だけ主板 | 書記 | 書記 | 主板 | 主板 | 書記がデータを渡すこと |
| 結果もデータも主板 | 書記 | 主板 | 主板 | 主板 | 書記への信頼は不要 |
| 独立の新板 | 新板 | 新板 | 新板 | 新板 | 新板を守る人々 |
2行目と3行目は一欄しか違いません。その一欄で、安全がコードに依存するか、誰かの善意に依存するか決まります。
この分野で最も覚える価値のある一欄です。
モデルを作る
四層へ分け、上から見ます。
- 実行:新しい状態を計算
- データ可用性:全員が元の入力を得られる
- 決済:争いの最終判断
- 合意:順番とファイナリティ
各層の取捨選択です。
| 層 | 外へ移す利益 | 外へ移す代償 |
|---|---|---|
| 実行 | 大幅に安く速くなる | 下の三層が残れば、ほぼない |
| データ可用性 | さらに一桁安くなる | 再計算と立証能力を失う |
| 決済 | 主チェーンの混雑を避ける | 最終審がなく、安全はゼロから |
| 合意 | 完全に自由な設定 | もう別のチェーン |
取引の費用構成
モデルは請求を直接説明できます。
| 費用 | 決定要因 | 負担者 |
|---|---|---|
| 上層での実行 | 上層の資源価格。通常は安い | ユーザー |
| 主チェーンのデータ費の分担 | 主チェーンの価格 ÷ バッチの件数 | 上層の手数料を通じてユーザー |
| 証明や異議申立期間の費用 | 書記の不正を防ぐ方式 | 通常手数料に含めてユーザー |
| 運営者の利益 | 上層が決める | ユーザー |
二つの疑問を説明します。
- なぜ上層は安いか:主チェーンのデータ費を数百、数千件で分けるからです。
- なぜ主チェーンと一緒に高くなるか:分担する分子が主チェーンの価格だからです。
費用は完全には主チェーンから離れません。主チェーンのデータ価格を下げるのが、上層を安くする最も有効な方法です。後の実例で確認します。
なぜ出金に待ち時間があるか
多くの人が戸惑いますが、理由は単純です。書記の不正がないことをどう証明するかで決まります。
- 事後の立証:まず正しいと仮定し、問題を発見した人が証拠を出せる期間を残します。十分な長さが必要なので、上層から主チェーンへ出金する際に待ちます。
- 事前の証明:各バッチに数学的な証明を付け、主チェーンが検証してから受け入れます。期間は不要で出金が速くなりますが、証明生成には費用と技術的な敷居があります。
どちらも大規模に使われ、取捨選択があります。細部より、待ち時間は運営者の怠慢ではなく安全方式で決まると覚えてください。
実際の大半のユーザーは、第三者の流動性提供者に即時交換してもらい、相手が待ち時間を引き受けます。その料金で買うのは、待ち時間です。
何と呼ぶか
ルールに従い、取引から新しい状態を計算する仕事です。
四層で最も資源を使い、唯一、安全に外へ移せます。結果を検証できるからです。一人が計算し、他が入力で再計算すれば問題を発見できます。
基準を覚えてください。結果を検証できる仕事は外注でき、合意の必要な仕事はできません。
争いに最終結論を出す層で、資産の最終的な帰属を記録する場所です。
主チェーンの安全を借りるのは、主チェーンのルールで最終判断を行うからです。第1章の、本当に届くのはいつかという問いを、チェーン間へ移したものです。
どの取引をどの順番にするか、参加者が一致する過程です。
順番とファイナリティを決め、第3章と第6章が扱いました。外へ移せません。自分で順番とファイナリティを決めるなら、呼び名にかかわらず独立したチェーンです。
元の入力を、本当に全員が入手できるかという性質です。
最も重要で見落とされやすい言葉です。データがどこかにあることではなく、今すぐ自分が入手できることです。
入手できなければ再計算も立証もできず、運営者が消えたときの残高も証明できません。拡張策で最初に尋ねるのは、元データはどこにあり、自分で取得できるかです。
実行をチェーン外へ移し、結果と元データを主チェーンへ提出する方式です。
数百、数千件を一つのバッチへ巻き上げて提出するので、この名前です。分担が安さの理由です。
安全の論理は一文です。運営者の正直さを信じず、立証したとき主チェーンが自分を守ることを信じればよいのです。
Rollupを名乗るなら、元データが本当に主チェーンへ提出されるか確認します。なければ別の方式で、便利でも安全の前提は全く違います。
一文にまとめます。
Rollupは実行を外へ移し、決済とデータを主チェーンに残します。
拡張策を判断する問いは、元データはどこにあるかです。
実践
まずテストネットで試すことを強く勧めます。 メインネットなら数ドル以内に抑えます。成果物は追跡経路で、意味ある金額の送金ではありません。練習のために大口資産をブリッジしないでください。
L2で送金します。 フォーセットで得るか、既存の少額資産を使います。ハッシュ、時刻、手数料を記録します。
L2の詳細ページを探します。 バッチ番号かL1提出取引のリンクと、主チェーンへの提出時刻を探します。
承認から主チェーンへデータが現れるまで何秒ですか? この数字を提出頻度として記録します。
主チェーンの提出取引を開きます。 手数料、含むL2取引数、データの保存場所を見ます。
最初の二つを割り、1件あたりの主チェーン費用を求めます。
実際の費用構成を計算します。
| 費用 | 金額 | 割合 |
|---|---|---|
| L2で払った総手数料 | 100% | |
| 分担した主チェーンのデータ費 | ||
| L2自身の実行費と利益 |
合計が合わなくても構いません。差額を記録し、行き先を考えます。それ自体がよい問いです。
出金の待ち時間を調べます。 公式文書で、主チェーンへ戻すにはどれほど待つと説明しているか探します。
さらに、コントラクトを更新できるか、権限は誰にあり、タイムロックはあるか調べます。第9章の方法が使えます。
最後に、運営者が明日停止しても、資産を戻せるか。何によって戻せるか答えます。
答えは宣伝ページでなく、第5段階で調べたものによって決まります。
AI Lab
構造化した課題を与えます。
二種類のRollupの出金手順を説明してください。事後の立証(異議申立期間)を使う方式と、
事前の数学的証明を使う方式です。
それぞれ段階ごとに説明してください。
1. 出金開始後に起きること
2. 待ち時間と、その理由
3. 運営者が取引を拒否する場合の対処
4. 運営者が完全停止した場合の資産回収
指定したL2について、表を埋めてください。
- どの種類か
- 公式文書の待ち時間
- 元データの提出先
- 順序付けの権限の管理者
- 更新権限の管理者とタイムロックの有無
各項目に公式文書リンクを付け、見つからなければ「未発見」と書いてください。
同種のプロジェクトから推測しないでください。本当の作業は、公式文書を開き、各項目を照合することです。
特に確認すべき誤りがあります。モデルは第三者による数分の即時交換を、公式出金の時間と説明しがちです。
二つは別です。
- 公式出金:安全方式を通り、その方式が待ち時間を決めます。第三者への信頼は不要です。
- 第三者の即時交換:主チェーンで誰かが先払いし、自分で待ちます。速い代わりに料金と第三者への信頼が必要です。
日常では後者でも構いませんが、どちらを使っているか理解してください。市場が緊張して全員が退出したいときこそ、第三者の資金が不足しやすいのです。
ほぼ必ず抜ける問いも自分で調べます。現在、コントラクトを誰が支配しますか? 大半の拡張策には更新権限が残ります。発展段階の現実ですが、主チェーンの安全を継承するという言葉で覆わず、リスク一覧に入れる必要があります。
AI の回答後、自分で必ず検証すること
- 説明した待ち時間が公式文書にあるか
- 公式ブリッジの出金と、第三者の流動性による即時交換を分けたか。時間は全く違う
- 元データの主チェーン提出について、二方式が同じか説明したか
- 運営停止時の自己救済手順と、それが実際に使えるかに触れたか
- コントラクト更新権限の管理者に触れたか
- 分散型の順序付けは実装済みか、計画だけか
- 具体的な数字に出典と時点があるか
実例
第8章の論争を本章から見ると明確です。増大派は費用を下げたく、反対派は参加の敷居を心配しました。
両者は、四層の取捨選択で優先順位が違いました。
最後は説得より、第三の道の発見に至りました。ブロックを大きくせず、実行を外へ移します。現在の大半の拡張作業はこの道です。
更新で、上層データの専用空間が追加され、普通のブロック空間と別に価格が形成されました。
依存する上層ネットワークの手数料は、一桁以上下がりました。
費用モデルを裏付けます。上層費用の大部分は、主チェーンのデータ費の分担です。 安くすれば上層も安くなり、完全に離れられない理由も分かります。
単一の順序付けサービスの障害で、数十分から数時間、取引を処理できなかった上層ネットワークがあります。
境界を理解してください。記録と裁定が主チェーンにあるので、資産は失われませんでした。しかしその間、清算線へ近づくポジションを含め、誰も操作できませんでした。
順序付けの権限を調べる必要と、分散化を各社が重視する理由です。それまでは単一障害点です。
極限まで安くするため、元データを主チェーンへ出さず、委員会に保管させる方式があります。
普段は安く正常に動きます。しかし委員会が故障、拒否、サービス停止を要求されると、状態ルートはあっても、対応するデータを出して残高を証明する人がいません。
使えないという意味ではありません。どの方式か理解し、相応のリスクに応じて置く金額を決めるという意味です。
変数を一つ変える
上層も大幅に安くなります。すでに現実で起きました。
二次的な効果もあります。十分安ければ、主チェーンへデータを出さない方式の理由が消えます。 節約だけが売りで、少額の節約にリスクが見合わなくなります。
技術方針の争いに見えるものも、価格の争いである場合があります。価格が変われば、方針も収束します。
単一停止のリスクが消え、検閲耐性が増します。一主体が取引を拒否できません。
代償は調整費用です。複数の順序付け役が合意し、遅延が増えます。低遅延は上層の大きな売りの一つです。
現実的な問題もあります。順序付けは上層収入の主な源です。 分散後の帰属は、まだ定まっていません。第26章で戻ります。
短期には影響がありません。立証期間も日常利用も30日以内です。
長期には主チェーンから全履歴を再建できません。古い状態を復元するには、当時保存した人を探します。
長期負担を抑えるため、真剣に検討される方向です。永久の入手可能性を、期間内の入手可能性と交換します。必要になるまで、大半のユーザーは差に気付きません。
完全に更新不可なら、現在のルールとバグを含め、永久に動き続けます。
更新権限がある段階なら、紛失で修理できなくなります。盗難なら、誰かが自分の論理へ置き換え、全資産を移せます。
第9章の四つが最優先です。誰が、何人で変え、いつ有効になり、気付けるか。巨額を預かるネットワークでは、TPSより重要です。
持ち帰る問い
より精密な問いになりました。どの層をオンチェーンにする必要がありますか?
順番の合意、争いの最終審、誰でも入手できるデータはチェーン上で必要です。結果の計算は不要です。
層別に尋ねれば、オンチェーンか否かという二択に縛られません。
上層の手数料には主チェーンのデータ費が含まれ、混雑が価格を決めます。
上層での操作は主チェーンと無関係でも、費用は連動します。 伝わり方を理解すると、いつ上がるか分かります。
収入は主に、手数料から提出費用を引いたものと、順序付けの収益です。
事業を見るのは、受け取るお金から主チェーンへの支払いを引いて何が残るかです。主チェーンが高くなると縮み、負にもなります。第26章で同じように分解します。
リスクは分かれます。元データが主チェーンになければ保管者、順序付けが一主体なら可用性、更新可能なら鍵の保管のリスクです。
独立した三つを別々に尋ねます。安全を継承するという言葉を、一つずつ検証してください。
章末チェック
できますが、代償は現在より数年後に現れます。
処理、伝送、保存が倍増し、追い付けない人が退出します。数年後は少数の資源ある組織しか検証できず、核心の価値である誰でも照合できる性質が失われます。
一文にすると、処理量を、参加できる人と交換しています。
実行(新状態の計算)、データ可用性(元入力の入手)、決済(争いの最終判断)、合意(順番とファイナリティ)です。
実行だけを安全に移せます。結果を検証でき、一人の計算を他の人が入力から再計算して確認できます。
残りは全員の一致が必要で、移せば別のチェーンです。
運営者への信頼が必要か決めるからです。
主チェーンに提出されれば、誰でも再計算と立証ができ、不正を見つけられ、信じる必要がありません。
なければ再計算も立証もできず、データを拒否されるか運営者が消えると、残高すら証明できません。
どこかにあるかでなく、今すぐ入手できるかを尋ねています。
安全方式で決まり、運営者の引き延ばしではありません。
事後立証では発見と証拠提出の期間が必要で長く待ちます。事前証明では検証して受け入れ、期間が不要で速くなります。
注意として、大半の日常利用は公式出金でなく、第三者の即時交換です。速くても料金と第三者のリスクがあり、特に全員が同時に出たいとき問題になります。
最低三つ確認します。
- 元データを本当に提出したか? 主チェーンの提出取引の内容を見ます。
- 順序付けの権限は誰か? 単一なら停止や拒否が可能です。
- 更新できるか、誰に権限があり、タイムロックはあるか? 宣伝で覆われやすい点です。
調べて初めて、保証の範囲が分かります。通常は本当でも、範囲は想像より狭いのです。
要点
ロールアップは実行を外に移し、決済とデータをメインチェーンに残す。